スタートアップがSaaSを活かす鍵は、まずは“足場”となるネットワークから

急成長を遂げるスタートアップ企業において、業務効率や柔軟性を高める手段としてSaaSの導入が進んでいます。しかし導入しただけでは本来の効果を得られず、通信遅延や接続不良が業務の足かせとなる場面も少なくありません。こうした背景には、意外にも見落とされがちな「ネットワークインフラの整備不足」が潜んでいます。SaaS活用の真価を引き出すために必要なインフラ環境の見直しと、解決策を提示します。
成長の陰に潜む“インフラの落とし穴”
スタートアップ企業にとって、テレワーク環境でも活用できるSaaSの導入はもはや当たり前になりつつあります。営業支援、経費精算、タスク管理など、クラウドサービスによって業務のスピードと柔軟性は格段に向上します。一方で、昨今のオフィス回帰の流れによりハイブリッドワークが定着したことで、オフィスからSaaSを利用した際に、「動作が重い」「接続が不安定」「自宅環境の方が速い」といった声が現場から上がることは珍しくありません。
その結果、業務がスムーズに進まず、必要な情報にタイムリーにアクセスできなかったり、顧客対応が滞ったりと、ビジネス全体のスピード感が損なわれてしまいます。またユーザーの間に「このSaaSは使いにくい」「結局アナログのほうが早い」といった誤った印象が広がり、せっかくのIT投資が生かされないケースも出てきます。現場のフラストレーションや信頼低下につながれば、業務効率化どころか逆効果となってしまうのです。
こうした問題の原因として多く見落とされがちなのが、ネットワーク環境の整備状況です。たとえば通信をすべて本社経由で集約する旧来型のネットワーク構成では、社員数や拠点の急増に対応できず、トラフィックのボトルネックが発生しやすくなります。またリモートワークにおいては、自宅回線や急ごしらえのVPN構成がパフォーマンスを左右するケースもあります。

さらにDNSやプロキシの設定不備、アプリケーション通信が他の業務トラフィックに埋もれてしまうなど、小さな問題が積み重なって「SaaSが使いにくい」という印象につながるのです。そして、何より深刻なのは、こうした問題に気づいていても、専任のインフラ担当者がいなかったり、他業務と兼任だったりすることで、抜本的な見直しが後回しにされてしまう点にあります。
快適なSaaS利用に欠かせない“基盤整備”
SaaSは導入して終わりではありません。クラウド上のサービスである以上、ネットワークの状態や運用体制が、その利便性と安全性を左右します。とくにスタートアップ企業では、現場のスピードを重視するあまり、SaaSの管理が属人的・断片的になっていることが少なくありません。
たとえば「誰がどのSaaSを契約しているのか把握できていない」「退職者のアカウントが放置されている」「契約が引き継がれずブラックボックス化している」といった事態は、コストの無駄だけでなく、情報漏洩や不正アクセスのリスクにもつながります。
こうした状況を解消するためには、まずSaaSの利用状況を全社的に可視化し、どの部門がどのサービスを使っているのか、誰にアカウントが紐づいているのかを明確にする必要があります。そのうえで契約管理やアカウントの設定・変更といった運用を一元的に管理できる体制を整え、属人化を排除することが重要です。さらにゼロトラストを前提としたアクセス制御のルールを設け、各種ログを記録・確認できる仕組みを導入することで、セキュリティ対策の実効性も高まります。

こうした整備が不十分なまま事業フェーズが進めば、後々IPO準備や大手企業との取引開始時に、監査対応やガバナンス整備を急いで進めざるを得なくなります。成長の加速にブレーキをかけないためにも、ネットワークとSaaSの運用体制は、初期段階から“全体最適”の視点で見直しておくことが不可欠です。
現場に裁量を与える柔軟性と、経営視点での統制を両立させるためにこそ、インフラ運用の体制整備は、スタートアップにとって早期に取り組むべき重要課題なのです。
なお、こうしたネットワーク課題は、SaaSを提供する企業にとっても他人事ではありません。開発環境やクラウド接続の不安定さは、サービスの品質やユーザー体験に直結します。SaaSを“使う側”も“作る側”もまた、安定したネットワーク基盤の上に価値を築くべき存在です。
ネットワーク運用は“信頼できるパートナーと共に進める”という選択肢も”
現実問題として、スタートアップ企業がネットワーク設計やセキュリティ対策、可視化・運用までを自社で完結させるには、非常に多くの負担がかかります。スピードが求められる企業だからこそ、外部の信頼できるパートナーと連携し、インフラ整備をアウトソースする選択肢を持っておくことは、急成長に耐えうる柔軟な体制を築く一つの有効な手段になります。
とくにSaaS活用を本格化させている企業にとっては、次のような要件を満たすネットワーク基盤が欠かせません。変化に柔軟に対応できる設計、通信の優先制御による業務最適化、ゼロトラストを前提としたセキュリティ、属人性を排した運用体制、そしてスケーラビリティと冗長性の確保――これらをスピーディに整えるには、専門性とノウハウを持つ外部パートナーとの連携を取り入れることで、より安心・安全・快適なネットワーク基盤の構築に繋がります。
アウトソーシングの利点についてはこちらでも紹介しています。
そこで注目したいのが、コムネットシステムが提供する「MALUTO(マルト)」です。MALUTOは、ネットワークの設計から構築、運用、障害対応までを一括で支援するサービスで、拠点追加やスモールスタートにも柔軟に対応可能です。MALUTOの導入によって、ネットワークの課題に悩む時間”が削減され、“本業に集中できる環境”を構築することができます。また、全国対応のオンサイトサポートも用意されており、変化に富むスタートアップの成長をしっかりと支えます。さらに、SaaSをより快適に使うための施策として「インターネットブレイクアウト」の構成提案も可能です。Microsoft 365やZoomなどの通信だけを直接インターネットに流すことで、レスポンスを大きく改善できます。
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